『幻想水滸伝ティアクライス』

同じ世界観でも。同じシステムでも。シナリオを書いた人間の腕次第で、こうも内容が違うものになるとは。

今回の作品では、歴代の作品とは違うシナリオが楽しめます。つまり、世界の根源をなすエネルギー「紋章」を巡るシリーズ恒例の大河戦記ファンタジーとしてのシナリオではありません。超健全な青少年向け成長ストーリーが展開されていながら、色々とツボは押さえていてくれましたな。

閨房と外戚の争いで、グチャグチャに乱れている帝国の様子を丁寧に描写していたり、それに巻き込まれる弱者の悲劇を丁寧に説明したり、運命論を絶対視する団体のどこか良くないか丁寧に解説していたり。(予断だが、極端な主張をする人間ないし団体を批判するというのは難しいシーンです。出来が悪い作品だと、一方的に作者が「正論」だと思っている理論をぶつけて、会話にならないことが多い。むしろ不快感を煽ってしまう)

また、敵の事実上の指導者であるベルフレイド師の凶行の理由は最後に明らかになるのですが、非常にやりきれない内容であり、彼を単なる外道にはしていない(凶行の数々は許せないとしても)。敵のバックヤードを丁寧に描写するやり方は、好感が持てます。ラスボスに関しても大体状況は同じで、最近の幻想水滸伝はいちいち面白いなと感心させられます。特にシナリオ面では、4で落ちるところまで落ちましたが、5以降一気に持ち直した感触です。非常に豊富に用意されたアニメーションムービーや、イベントシーンのフルボイスぶりも、DSでありながら並のPS2ゲームを凌いでいます。